2013/05/20
先日、動物病院に行ったときのこと。
かなり混んでおり、クレアを、椅子と足の間に入れてフセをさせて待っていました。
肩も触れ合うほど隣に座っていらした方は、まだ若そうなダックスをだっこしていらしたご婦人。
ずーっと、撫で撫で。
しょっちゅう話しかけていました。
よくある風景ですよね。
そのうちに、こちらからは見えないところで、犬が神経質に「わわわわ」と吠えたり、「うぉーん」と吠えたりしているのが聞こえました。
声の様子からいって、中型犬くらいかなぁ?と思って聞いていました。
不安そうで、ぴりぴりした声で、わたしだったら一旦外に連れ出してやるんだけどなと思いながらも、そのまま座っていました。
(あとで見たら、やはり15キロくらいの日本犬系ミックスの仔で、7~9才くらいかな?というWanでした)
そのとき、ダックスをだっこしていたご婦人が「だいじょうぶよ、怖くないわよ」と声をかけて、撫で撫で。
ああ、怖がりさんなのかなと思って、ちらっと犬を見てみましたら、………まったく動じていません。
それどころか犬の声も気にしていません。
緊張しているわけでもなく、退屈そうにしているだけ。
ひとことで言えば、落ち着いていました。
また犬が鳴き、ご婦人がダックスの耳をふさぐようにしておさえ、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と繰り返していらっしゃいました。
ダックスはふさがれたのが嫌で頭を振って、だっこされている腕から逃げようとしていたのを、ご婦人は怖がって逃げたがっていると思ったのか、さらにぎゅっとだっこして「お母さんがいるから大丈夫」としきりに繰り返していました。
犬は怖がっていない。
本来なら無視してやればいいものを、人が神経質に「あの声を聴いたら、怖いのは当たり前よ。怖がるのはただしいのよ」と教えているようなものです。結果、神経質な犬を飼主さんが作ってしまって、「うちの子はこわがりで…」となるのです。
これでは、もともとはのんびりさんだったかもしれないWanも、神経質になってしまいます。
ここまで読んでおわかりになった方もいらっしゃるでしょうが、このケースは飼主が神経質に育てているのです。
正直、もったいないなぁと思いました。
ダックスにしたら、目の色もおちついていて、堂々としていて、いい犬にみえましたのに、これでは人が犬をこわしてしまっているなぁと。
自分の犬をもっとよく見てほしいなと思います。

ちなみにクレアはそのまま床に顎をつけて、寝ていましたが、無遠慮に近づいてこようとした犬がおり、わたしは足でブロック。
臭いをかがれたくらいで怒りはしませんが、こと病院という環境は、犬自身が緊張していたり、独特の臭い、雰囲気で、普段ならなんてことのないことも、イラつかせることもあります。
動物病院は社交場ではありません。
病気で来ている場合が多いわけで、飼主さんの精神状態も常とは違い、やや消極的だったり、悲観的だったり、不安な状態だったりするわけです。
飼主とともにいる犬が、飼主さんの気持ちをどうして察しないといえるでしょう?
飼主さんから伝播して不安がったりしてしまうのですから、やはり病院という空間は普通の場所ではないのです。
普段は堂々としていらっしゃる飼主さんも、こと病気の犬を連れているとなると、心中おだやかではなかなかいられなくなります。
わたしだってそうです。
ただ、そのときの自分の精神状態が犬に与える影響は大きいということを知っている、ということです。
せめて自分の不注意から犬をさらに不安がらせないように配慮する、というそれだけです。
緊張のあまり、どういう行動をとるか予測できないことも往々にしてあるのです。
緊張状態がある、ということでは、道々で会うよりもよほど喧嘩などが起きやすい場でもあります。

病院が好きな場所にすること、リラックスできるように慣れさせていくことは別の次元で必要なこと。
経験値を踏ませ、どんな場所に行っても、落ち着いていられるようにするのは別のことです。
それはそれで必要なことです。
大事なことです。
でも、病院でのマナーもまた別なのです。
他の犬にちょっかいを出さない、人や犬を無視する。
不安がって吠えてしまうならば、他の犬の精神状態もあわせ考え、外で待機するなどの心配りが大事になってきます。
そういうことができて、マナーが守られているといえるのではないかなと思います。
どうすればみんなが気持ちよくその場を共有できるのか、トラブルなく犬同士をすれ違わせられるか、それを考えて行動すれば、おのずとなにが必要なのかわかってくると思うのですが……
そう思いませんか?
オレはただいま負傷中~。家ではエリマキトカゲになっているよ~。